前夜には木枯らし一号が吹き荒れたものの、一転して好天に恵まれたこの日。ただ気温は低く、肌寒いを通り越して、身震いするような冷風が上着の首の隙間から容赦なく吹き込む。文化の日で祝日ということもあり、太陽が西方に沈む頃になると大勢の夕陽族たちが片瀬西浜には集結していた。

日没時刻は16時45分。16時過ぎには空気が澄んでいるためか鮮やかな群青色に映える海面に“黄金の帯”が出現。サーファーたちが黄金色の慈悲に包まれて黄金の羊の群れに変身する時間帯だ。

太陽はシルエットとなった伊豆半島の山塊越しに沈んでいく。

光線は黄金色から濃い赤色へ徐々に変化していく。それに伴い、空の色は白を中間に青と赤のグラデーションを生み出す。この中間色としての“白”が、畏怖の感覚を呼び起こすほど、この上もなく美しい。宇宙の果てを瞥見させるようなボイド・カラーだ。

やがて、夕陽は深紅色を纏い、西の彼方に悠然と姿を消す。

宇宙スケールのメカニズムの荘厳さに、心を打たれる。なんとなめらかな、何事にも微塵の影響も受けない着実な動きだろうか。思わずストレートシックス・エンジンのシルキーな回転を連想する。もちろん、比べようもないのだが…。

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